海上自衛官が稼ぎたければ飽和潜水一択

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年収仕事

自衛官は特別職国家公務員なんで、比較的就職難易度が低いわりに安定した人気職の一つ。

しかし公務員の給与は、良くも悪くも安定している。

仕事ができなくても、人事異動で左遷されても、服務事故さえ起こさなければ、毎月の給与やボーナスが減らされることも、首になることもない。

窓際にいても、定年まで安定した給与が振り込まれる超優遇企業、働かないおじさんの楽園。

もちろん職場に貢献した分ある程度評価されるので、積み重ねると年収や退職金で大きな差が出ることは間違いない。

正攻法なら業務改善や任務遂行時の活躍、上司へのゴマすりなんかも効果的。

でもそんなことをしても、必ずしも評価され昇給につながるとも限らない。努力や継続が息を吸うようにできる人ならおすすめするが、そんな人は公務員やってちゃいかんだろ。

今回は他者評価を抜きに、確実に給与を上げる、稼げる飽和潜水について解説する。(注意:海上自衛隊限定商品)

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飽和潜水員はサブマーク

海上自衛官になったら、まず自分の主とする仕事(メインマーク)を決める。

名前の通りこれが決まると、自衛官人生ずっとそれをメインに仕事をする。

一般企業で言うと、営業、製造、経理、人事、サービスなどの職種だ、例を挙げると運用、機雷掃海、航海、通信、電機、ディーゼル、ガスタービン、補給、経理などがメインマークとなる。

海上自衛隊に入隊したピカピカの新人たちは、仕事の内容もよく分からないまま、なんの適性検査かすら教えられないまま検査を受け、適正の有無でメインマークを決められていく。

そこに異議や異論を挟む余地はなく、厳然たるルールのみがそこにある。

嫌なら辞めるしか選択肢がないが、多くの新人がメインマークの魅力のみを説かれ、やってるうちに仕事が好きになる、天職になると信じ込まされ、胡麻化される。

しかしメインマークからの逃げ道も実はあって、それがサブマーク(副特技)。

サブマークは、名前の通りメインの特技以外の、副業や補足業務的な仕事に位置しているが、一部サブマークを専門に仕事ができるものがある。

その一つが今回解説する飽和潜水というわけだ。

飽和潜水をサブマークに選ぶためには、いくつかの条件があるので注意すること、詳しくはこちらで

飽和潜水員になれない初期設定
海上自衛隊には飽和潜水という、長期間深い海に潜るための設備や技術を保有している。日本で飽和潜水をしたければ、海上自衛隊、アジア海洋、日本サルベージのいずれかに入職する必要がある。上記3つのなかでは、海上自衛隊に入職し飽和潜水員を目指すのが、...
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いくら稼いだ?

飽和潜水がどういうものかはとりあえず置いといて、いくら稼げるかを最初に伝えておく。

ひと月の手取り額で約370万円

当時のスペックは、25歳、自衛隊入隊7年目、3等海曹、陸上勤務、特昇経験なしのぶら下がり系平凡隊員。

そんなボンクラが、ひと月飽和潜水に従事しただけで、得られた収入にしては破格だろう。

公務員給与法によって、自衛官のひと月の俸給は定められている。比較対象として、海上自衛隊の頂点である海将の基本給は117万5千円(税引き前)。

公務員の給与や手当類は、ネット上に公開されていて誰でも閲覧可能、興味のある人はこちらを参照

自衛官の俸給表の詳細
自衛官は国家公務員にあたりますが,その俸給表は一般職の国家公務員の俸給表とは別に定められています.このページでは自衛官俸給表の詳細を紹介しています.
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より深くより安全により長時間

飽和潜水は、生身の人間が長く深く潜るために考えられた潜水方法の一つ。

飽和潜水以外の方法では、人が一日に潜水できる深さと時間は決まっている、それは潜水中に時間の経過によって体の各組織にガスが溶けていくから。

通常の潜水の場合、体に溶け込んだガスを体外に排出するため、定められたスピードで浮上(減圧)する。

この浮上にかかる時間は、潜っていた水深が深くなれば深くなるほど、潜る時間が長ければ長いほど長い時間を要する。

空気を充てんしたボンベで潜水する方法だと、容量に限りがあるので、長時間の浮上には適さないし、海中にいる時間が長いほど事故のリスクが上昇する。

かといって時間短縮のため、急速な浮上を行うと体内で溶解したガスが気泡化し、場合によって重篤な後遺症を伴う減圧症に罹患するケースもある。

体に溶け込むガスの量は限界があり、一度飽和状態になってしまえば、その水深に何時間だろうと何日いようと上昇(減圧)に掛かる時間は変わることがない。

飽和潜水はこの特徴を利用して、わざと体内にガスを飽和状態にすることで、長大な減圧時間と引き換えに、潜水作業時間と深度の深さに能力を極振りした潜水方法。

飽和潜水についてサルでも分かる解説はこちら

世界一わかりやすい飽和潜水
飽和潜水という言葉が、大きくメディアで取り上げられたのは2022年4月。北海道知床沖で起きた、観光船の沈没事故に伴う行方不明者の捜索に、日本サルベージが実施した潜水法の一つが飽和潜水。北海油田がある北欧においては、日本と違い民間が運営する飽...

深深度、長時間の関係で他給気式潜水器一択だし、深海海面まで進出するための大型支援船、ガスや温水供給装置、ダイバーが生活する居住設備など大掛かりな設備を必要とする。

飽和潜水を実施している海上自衛隊の部隊は、神奈川県に2か所、広島県に1か所。

頻度は、各部隊年1回機器の作動確認と練度維持のための訓練、学生教育。

その他に潜水艦救難、航空機救難、海中捜索など、有事に即応できる状態で常時待機している。

歴史上飽和潜水の最深記録を持っているのはアメリカ。

1988年のHYDRA-VIIIでは6人のダイバーが実海面で534メートルの潜水を行い、これが、実海面で行われた有人潜水の最深記録となっている。そして1992年のHYDRA-Xでは、地上の実験施設において、3人のダイバーが701メートル相当までの加圧を行い、これが、あらゆる環境で行われた有人潜水の最深記録である。

                            Wikipediaより抜粋

日本で飽和潜水を実施しているのは、海上自衛隊、アジア海洋、日本サルベージ。

自衛隊は、海上自衛隊潜水医学実験隊を中心として、飽和潜水を含む各種潜水技法の研究開発を進めており、1997年には400メートルで40日間の潜水を達成し、2008年5月21日には、潜水艦救難艦ちはや」 (ASR-403) の潜水員が450メートルという日本新記録・世界第2位(当時)を達成している。 

                             Wikipediaより抜粋

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370万円稼いだ深度と日数

私が稼いだ370万円の内訳は、440mの高圧室で30日の飽和潜水手当+基本給。

30日間4畳半くらいの広さの高圧室内で、男性6名が衣食住を共にする。

高圧室の外では数十人のサポートダイバーが、ダイバーや機器に異常がないかを24時間体制で監視。

食事は3食上げ膳据え膳、洗濯物も洗って乾燥して畳んで戻ってくる。

刑務所や精神科の保護室に似たような感じだろう、生命維持には不自由なく、隔離され自分で色々出来ない分、他人があれこれ世話を焼いてくれる。

刑務所や保護室との大きな違いは、24時間強制共同生活を余儀なくされるので、人間関係をいかに悪い状態にしないかが期間中の裏命題。

飽和潜水において、高圧環境による身体的な影響や過酷な訓練・実験による消耗も大きいが、実際のところ24時間監視、ダイバー間の雰囲気、禁欲・監禁状態といった精神的ストレスの方が堪えた。

飽和潜水中の禁欲生活が招いた悲劇はこちら

誰にも言えない飽和潜水中の恥ずかしい話
二十代半ばで440mの飽和潜水をやったとき、若さ故の心配事がありました。それは、欲求不満による夢精。めちゃくちゃ恥ずかしい話ですが、そのころ精処理が出来ない日が長く続くと悶々として、寝てる間に出てしまい、パンツがびちゃびちゃなんて日常茶飯事...

そんな地獄の30日修行の末、手に入れたのが370万円。

今振り返れば、若さ故に耐えられた感は否めない、総拘束時間24時間×30日=7200時間( ゚Д゚)時給513円!コンビニバイトしてた方が単価いいぞ。

身体的・精神的ストレスに、果たして見合う金額かどうかは、読者の判断にゆだねる。

スキルも経験も実績もない海上自衛官が、短期間で大金を得るには、精神を削りながら長時間肉体労働に勤しむ必要があることを身に染みて実感した一か月だった。

時間や体力があり、守るものがない若い独身のうちに、挑戦してみるのも良い経験だろう。

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まとめ

公務員は手堅い職業で一攫千金とは無縁だと思われがち、実際公務員の給料は法律に定められているので、一発当てて大儲けすることは難しい。

しかし、公務員の中でも自衛官は、体を張った特殊な任務に就くことも多く、解説した飽和潜水のように、破格の手当てを稼ぎ出せる職種もある。

自衛官の手当てに関してはこちらを参照、適性や人事があるので、すべての人が従事できるわけではないが、稼げるマークを見積もっておくのもありかもしれない。

事前に情報があるかないかでは雲泥の差、自衛隊ライフをエンジョイするため、金銭的に優位な立場を得るため、徹底的なリサーチは今の情報化社会では必須スキル。

飽和潜水に限らず各種潜水作業手当、乗り組み手当、航海手当などが付くので、年1回のイベント選考に当たれば爆益だが、もし漏れたとしても、常時給与は高水準だったりする。

海上自衛官が稼ぎたければ飽和潜水一択である。

【極秘!】飽和潜水員の年収が高い理由をあなたにだけコッソリ教えます
日本では海上自衛官とアジア海洋の職員にしかなれない飽和潜水員ですが、深海に潜る危険な仕事であるため飽和潜水の手当てはかなり高額となっています。飽和深度に比例して高くなるので、深くなればなるほど長くなればなるほど賃金は跳ね上がります。飽和深度...