誰にも言えない飽和潜水中の恥ずかしい話

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恥仕事

二十代半ばで440mの飽和潜水をやったとき、若さ故の心配事がありました。
それは、欲求不満による夢精。
めちゃくちゃ恥ずかしい話ですが、そのころ精処理が出来ない日が長く続くと悶々として、寝てる間に出てしまい、パンツがびちゃびちゃなんて日常茶飯事でした。

初めて体感できる、深々度飽和潜水に対して、期待に胸を膨らませていましたが、その反面、夢精せずにひと月もの間耐えられるか?もし出てしまったとして、どうやって隠すか?バレたら恥ずかしくて死にそう(;´д`)と気を揉んでいたのも事実。

シミュレーションダイバーに選ばれるのは、年に一回の6人のみ、貴重な経験と大金を掴むチャンスを逃すのは勿体ないので、不安はありつつも辞退せずに挑戦することにしました。まだ若かったので何とかなるさと気楽に考えていたんだと思います。

今もし飽和潜水やれって言われたら、若くないので夢精の心配はなさそうなんで、恥をかくリスクは少なそう。でも1ヶ月も狭いタンクの中でおじさんが6人も顔つき合わせて生活するのはまさに地獄絵図。外部との連絡遮断、娯楽もTVと書籍のみ、会話も苦手、常時モニターで監視などの劣悪環境なら、ひと月数百万円の手当てなんかいらないから普段の生活をさせてもらいますと、丁重に辞退するでしょう。

飽和潜水が始まって3日間は加圧、1日保圧、その後3日間役割を代えながらの水中作業、終了後約3週間の減圧、計1ヶ月の予定となります。

加圧~水中作業までの約1週間は疲労と緊張、高圧環境への戸惑いが多く、あまりよく眠れず浅い睡眠が続きました。寝るときに脳波をとるため頭や体に電極を付けていたこともありますが、一番大きかった要因は、圧力による鼓膜の圧迫感と、タンク内のガスを循環させるブロアの低音が常時聞こえることでした。

そんなこんなで、無事作業も終了し、減圧に入った10日目。ついに危惧していた、夢精をやらかしてしまいました。

高圧環境や各種実験にも慣れ、水中作業へのプレッシャーもなくなり、減圧中は減圧症予防のため、肉体労働も厳禁で比較的穏やかに過ごせることから、消化日数的には3分の1ですが、気持ち的にはほぼやりきった感じでした。

禁欲と安心感と今まで張っていた気持ちの糸が、緩んだことが原因でしょう。まあ10日間もっただけも、よく頑張った方だと思います。

問題はこの後の処理になります。気づいたのは早朝で、まだ起床時間前なので照明は落とされたまま。このまま闇に乗じて着替えようかと考えましたが、怪しまれずにどうやって着替えるか?汚れた下着をどこに隠しておくか?もし今着替えると手持ちの下着の数が足りなくなる?いや数はあるが洗濯物を外に出したとき、私だけパンツが2枚出ているのは不自然か?など思考がぐるぐる回ります。

結局たどり着いた答えは、汚れた下着をはき続け、シャワー時に普通に着替えるというもの。

万が一に備えティシューをベッド付近に忍ばせておいたのが、項をそうしました。とりあえず起床時間までに、ばれないようごそごそと拭きあげ、ゴミはポケットに入れておきます。後でどさくさに紛れて捨てます。

臭いでバレると思われがちですが、飽和潜水中は深々度ほど嗅覚が鈍くなり、全然においを感じません。なので目で見て分かるような、ズボンへの染みがなければ、1日汚れた下着を履いてても、バレることはないのです。内心ヒヤヒヤでしたが💧

タンクの中の人達にはバレずに済みましたが、汚れた下着を洗ってくれる外回りの人達に、バレるかどうかは、運を天に任せるしかありません。ただ外回りの経験上、タンクから出てきた洗濯物はイチイチ触ってほぐしたりせず、袋から直接洗濯機に放り込むはず、だっておじさんが着たものなんか、誰も触りたくないでしょ?

ハラハラドキドキしながらスウェットにくるんで洗濯を依頼してから約1日経過後、外からはパンツについてノーコメント。つまり何事もなく洗い上がって戻ってきました。これで私のやらかしは文字通りキレイさっぱり水に流れたわけです。

若い頃の失敗は今思い返せば笑い話に出来ますが、その時はどうやって隠蔽するか?バレたときになんて言い訳しようか?人生最大の汚点を残しそうで、気が気ではなかったですね。

飽和潜水中は24時間モニターで監視されているし、タンク内に個室なんてありません、艦艇勤務以上にプライベート空間がない状態で、訓練期間を過ごします。性欲の処理が出来ない日が続くと、人によっては過酷な訓練をこなすより、苦痛を感じることがあるかもしれません。

私のように耐えきれず漏れてしまうと、赤っ恥をかくことになりかねません。飽和潜水訓練のダイバーに選ばれるというのは、名誉なことであるのは間違いないですが、特に若い人にとっては性欲をコントロールする自制心もしくは性的な失敗を人に知られても笑い飛ばせるメンタルがあるといいかもしれません。